【発刊にあたって】     【機関誌第2号】     Top


                     代 表  守 田 稔

 視覚障害をもつ医療従事者の会「ゆいまーる」が2008年6月8日に発足して、今年で5年目に入ろうとしています。当初10数名の小さな集まりでしたが少しずつ仲間が増えて、今は正会員、協力会員を合わせますと70名を超すまでになりました。また、2010年6月の機関誌創刊号発刊に引き続き、この度第2号を刊行することができました。これも偏に「ゆいまーる」に参加されています方々、応援してくださる皆さまのお力によるものと深く感謝いたしております。

 創刊号から第2号発刊までの間にも、いろいろなことがありました。年に1度の秋の交流会では、高知(2010年)と高野山(2011年)に参りました。普段はなかなか会うことのできないメンバーが出会い、食べて飲んで、ゆっくりと親睦を深めることができました。そして観光だけではなく、視覚障害者向けパソコンソフトの会社見学や、医療界の歴史的偉人の資料館見学など、当会ならではのイベントも、地元会員の方々のお力で実現しました。

 他方、悲しい出来事もありました。発足記念講演会での司会進行役や会計監査役など多大なサポートをしてくださっていた協力会員の境実香さんが、癌との厳しい闘病生活の末、2010年8月1日に亡くなられました。創刊号に寄せていただいた原稿「『ゆいまーるの会』にエール!!」が私たちへの最後のメッセージになりました。

 また日本全体では、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、多くの尊い人命が失われ、深い悲しみを私たちに残しました。会員の中にも被害に遭われた方がおられ、障害をもっているだけでも大変なところを悲しみや困難を乗り越えて今もがんばっておられます。

 視覚障害をもちながら医療職に従事、あるいは目指している会員は、今もそれぞれの場所で悩んだり、困ったりしながらも模索しがんばっています。時には答えがすぐには見つからず、先の見えないことに不安を感じていることもあります。けれど同じ悩みをもち、同じ志の仲間が実際に出会うことで‘ひとりではないんだ’‘障害を隠さなくてもいいんだ’と安心して話せることは、より良い情報交換を可能とし、そこで培われた人と人との絆が大きな支えとなっていることは間違いありません。

 私たちは、これからも「ゆいまーる」の名の通り、職種や立場を越えて人と人との結びつきが広がる中で、明日への希望や元気を紡ぎ出してゆく、そのような会を目指していきたいと考えています。