【第56回 点字毎日文化賞受賞】【機関誌第6号】     Top


     ■毎日新聞 2019年9月29日(日)■

   第56回点字毎日文化賞に「視覚障害をもつ医療従事者の会」


 視覚障害者の福祉、文化などの分野で貢献した個人や団体を表彰する「第56回点字毎日文化賞」は、「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」(代表・守田稔医師)に決まりました。団体が選ばれるのは3回目です。
 
 視覚障害のある医師や看護師、理学療法士ら医療従事者を正会員に、2008年に発足し、情報や経験の共有など交流を主な目的に活動しています。
 代表は03年に全盲で初めて医師国家試験に合格した守田さん(43)=大阪市浪速区。精神科医としての守田さんの活躍は、同じように人生の途上で視覚障害となった医師らに影響を与え、「つながり」「助け合い」の意味を持つ沖縄の言葉「ゆいまーる」を愛称とする医療従事者の交流組織につながりました。

 今年6月からは「点字毎日」で月1回、会員の精神科医らが交代で執筆する連載「ゆいまーるのこころだより」を始めるなど、外に向けての発信も強めています。中途障害者の多くが心理的葛藤にも苦しむと言われる中、専門的な医学的知見に加え、障害当事者の経験を生かしたケアで当事者団体としてのさらなる役割を果たしてほしいとの期待を込めての授賞となります。

 表彰式は10月23日、毎日新聞東京本社で。賞状と記念盾、副賞の中村京太郎賞(置き時計)、日本盲人福祉委員会奨励賞(30万円)を贈ります。 毎日新聞社



     ■点字毎日活字版 2019年(令和元年)11月7日(木曜日)■
 
           点字毎日文化賞表彰式

     「ゆいまーる」守田さんに   医療従事者らと情報共有


 「第56回点字毎日文化賞」の表彰式が10月23日、東京都千代田区の毎日新聞東京本社で開かれた。受賞団体「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」代表の守田稔さん(43)に、表彰状と記念の盾、副賞の中村京太郎賞(置き時計)、日本盲人福祉委員会奨励賞(賞金30万円)が贈られた。団体の受賞は3例目。【山縣章子】


 ゆいまーるは2008年に結成し、視覚障害の医師や看護師、理学療法士ら医療従事者を正会員に、仕事の進め方をはじめ医療情報を集める工夫など、経験や情報を共有しながら交流。自らの経験を患者のケアや支援に役立てているほか、今年6月からは点字毎日で月1回、会員の精神科医らが交代で執筆する「ゆいまーるのこころだより」の連載を始め、発信にも力を入れている。2003年に全盲で初めて医師国家試験に合格した守田さんが代表を務める。

 受賞のあいさつで守田さんは、視覚障害があり、医療分野の資格を持つ約40人を含めメンバーは80人にまで広がったと報告。一方で、看護師は病気などで視覚障害が進んだ場合 仕事を続けるのが難しい実情についても取り上げた。その上で守田さんは「会としてできることは限られているが、賞を励みに、視覚障害のある人の医療職での就労継続と新たな職域拡大を目指したい」と語った。

 表彰式の後、守田さんらは丸山昌宏・毎日新聞社社長らと懇談。看護師の資格を持つ視覚障害者が眼科で情報提供などを手がけている好事例などを紹介した守田さんは「医療と視覚障害者を結ぶ架け橋になれる可能性があり、広がってほしい」と期待を寄せた。また、患者会や就労支援に取り組む団体の活動などにも顔を出してつながりを広げていることにも触れ、「相談があった場合、いちばん適当なところにつながる態勢を作りたい」とも話した。

 点毎文化賞選考委員長の竹下義樹・日盲委理事長は「さらに視覚障害者の職域を広げて、全盲の医師らが当たり前になるように活動してほしい」と激励した。

 (写真)
 毎日新聞 2019年10月24日付 丸山昌宏・毎日新聞社社長から賞状を手渡される守田稔代表(東京都千代田区の毎日新聞東京本社で) (長谷川直亮撮影)