【♪ 音楽あるかぎり】    【機関誌第6号】     Top


                  福 場 将 太(ふくば しょうた)(北海道)


 中学以来、曲作りはもう25年以上も続く僕の趣味。幸い音楽は視力を失ってもできる娯楽、今となっては自分の心を元気に保つために不可欠なライフワークです。
 また音楽は気持ちを保管してくれる媒体でもあり、昔の楽曲を聴くことで、大切なことをたくさん思い出せます。そうやって過去の自分に励まされながら、そして未来の自分を励ますためにも、この活動はやめられそうにありません。

 そこで今回は、視力を失わなければ思い付かなかっただろうなあという楽曲をいくつかご紹介。大いなる自己満足ですが、ワンフレーズでも気に入っていただけたら嬉しいです。


 ◆ 曲 名:玄関のアワード

   毎朝こんなに こんなに重たい玄関のドア
   行こうかやめようか ノブに手を掛けて迷ってる
   そんなあなたに贈るよ このアワード
   そんなあなたに届いて このアワード

   毎朝こんなに こんなにぶ厚い玄関のドア
   外の世界に 自分の居場所はあるのかな
   そんなあなたに贈るよ このバラード
   そんなあなたに届いて このバラード

   誰も知らない毎朝の葛藤
   我儘(わがまま)でも 中途半端でも 危なっかしくても

   毎朝こんなに こんなに重たい玄関のドア
   うずくまりたいよ それでもエイヤと家を出る
   そんなあなたの勇気を讃えよう
   そんなあなたの勝利を信じよう
   あなたに贈るよ このアワード
   あなたに届いて このアワード

 [解 説]
  障害をもつ者にとって、外に踏み出すのは大きな勇気。安全な室内に閉じこもっていたくなる。でもそれでは願いは叶わない。毎朝玄関で、人知れず自分と闘っている人たちへの応援歌です。


 ◆ 曲 名:I like your voice

   今日ね久しぶりに あなたの声が聴けたよ
   仕事の電話だったけれど とってもとっても嬉しい
   こっそり受話器に頬寄せ あなたの声を聴いたよ
   相変わらず急がしそうで とってもとっても優しい
   I like your voice. あなたの声が聴きたい
   Talk to me please. 言葉は何でも構わない
   I wanna listen to you.

   少し背伸びをしている 幼い音色の中に
   まっすぐ揺るぎない響き とってもとっても素敵
   I like your voice. 心預けて目を閉じたら
   Talk to me please. 頭の中を駆け巡る
   It sounds like happiness.

   今日ね 久しぶりに あなたの声を見つけた
   遠いざわめきの中に とってもとっても愛しい
   I like your voice. あなたの声が聴きたい
   Talk to me please. 言葉は何でも構わない
   I wanna listen to you.
   大好きなあなたの声

 [解 説]
  残念ながら目が見えなくなるともう「ひと目惚れ」という現象は起こりませんが、「ひと耳惚れ」はあります。素敵な声の人に出会うとドキドキしますよね。そんな声に恋する想いを込めたバリアフリーラブソングです。


 ◆ 曲 名: 終わりの中の始まり

   どう考えても 考えても
   無理があった生き方なのに 生きてる 生きている
   もうあきらめて あきらめて
   消えなかった悔しさだから 負けない 負けてない
   どうだい どうだい ヘタクソな人生は
   どうだい どんなもんだい それなりの日々

   どう頑張っても 頑張っても
   思い出にはできない人 君だよ 君だった
   そうあの時も あの時も
   言えなかった言葉がある ここだよ ここにある
   どうだい どうだい ヘタクソな恋もして
   どうだい どんなもんだい また好きになる

   どうだい どうだい 新しい人生は
   どうだい どんなもんだい 誇らしいかも
   どう考えても 考えても
   無理があった生き方なのに 生きてる 生きている
   生きていける

 [解 説]
  障害を受け入れるのはやっぱり悲しいこと。それによって必ず何かが終わってしまう。でも必ずそこから始まるものもある。ゆいまーると出会い、たくさんの仲間たちの姿を知り、自分自身も初めて視覚障害の当事者として講演に立った時に作った曲です。ちょうど平成が終わり令和が始まるタイミングだったので、これから一年一年人生の新しい時代を歩いていきたいです。