【多職種連携に必要なコミュニケーション】  【機関誌第6号】   Top


                  村 瀬 樹 太 郎(むらせ じゅたろう)(東京都)


 機関誌4号では「チームとは」というテーマで、チームとチームビルディングについて緩和ケアチームを例に述べた。今回は、多職種連携に必要なコミュニケーションについて述べる。

 医療における多職種連携で最も重要なことは、目標と情報を共有することである。情報共有をするためには、コミュニケーションが鍵である。実際、情報共有の方法として、直接会って話し合うカンファレンス、文書でのやり取り、ICT(Information and Communication Technology 情報通信技術)を使ったやり取りなどがあり、それぞれ長所と短所がある。

 カンファレンスは、病院内であれば緩和ケアチームなどのチームカンファレンスをはじめキャンサーボードや退院前カンファレンスなどもあり、在宅領域ではサービス担当者会議などがある。直接会うカンファレンスは意見交換がしやすいことがメリットだが、大人数の日程調整と移動が負担となる。

 文書としては、診療情報提供書、訪問看護指示書/報告書、居宅療養管理指導などある。一方通行の形式であることが多く、多職種での共有ツールはほとんどないことと、記載者によって情報の質が大きく異なること、タイムリーな情報でないことなどが問題点である。実際、在宅療養の現場では病院からの情報は限られており、特に看護や介護スタッフは医療情報を患者・家族からの不十分な情報をもとに医療やケアを提供していることも少なくない。その背景には、病院や診療所からの情報提供ツールが少ないことに加え、病院や診療所の医師・看護師には聞きにくいという心理的バリアがある。逆に地域で得た情報が十分に病院や診療所に伝わっていないこともある。

 多職種連携を図るうえで、顔の見える関係性づくりの有効性が示されている。「顔の見える関係」には3つの区分として、@ 顔が分かる関係、A 顔の向こう側が見える関係 (人となりが分かる関係)、B 顔を通り超えて信頼できる関係、に分けられる。関係性が深まるにつれて多職種連携がスムーズになるので、顔の見える関係性作りをめざすことが望ましい。

 一方、ICTを用いたMedical Care Stationやカナミックといったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のような多職種連携システムが広がりつつある。テレビ会議システムの利用も期待されている。簡便でタイムリーに複数の職種で情報共有ができるのがメリットだが、地域で共通したシステムの利用がされていないこと、情報管理、業務量増大などの課題がある。

 昨年、次男が生まれ、長男4歳、次男0歳、妻と私の4人の家族となった。私は父・夫として収入確保と育児、妻は妻・母として家事と育児という主な役割がある。長男と次男は、それぞれは兄・弟としての社会性の発達と親にとっての癒やしの役割がある。これらの役割を果たすためにはコミュニケーションが重要である。一緒に食事をしたり、一緒に遊んだり、一緒に過ごしてコミュニケーションをとることでお互いの思いも理解することができ、同じ目標を目指して協力することにつながる。
 1週間に休みが1日あるかどうかのブラックな環境で働いているので、なおさら家族との時間を大切にしていかなければならないと感じる今日この頃である。