【佳代の俳句散歩】     【機関誌第7号】     Top



                  戸 田 佳 代(とだ かよ)(東京都)



   令和四年 安寧希ふ 大旦      (れいわよねん あんねいねがう おおあした)


   むらさきの富士に昏れゆく冬夕焼  (むらさきのふじに くれゆく ふゆゆやけ)


   能面を掛けて整ふ冬座敷      (のうめんをかけてととのう ふゆざしき)


   史実読む 蘆花兄弟の書の温し    (しじつよむ ろかきょうだいのしょのぬくし)


   冬麗 宇宙旅行へ行く 世かな    (ふゆうらら うちゅうりょこうへゆくよかな)


   冬至梅 莟の鉢を日に移す      (とうじばい つぼみのはちをひにうつす)


   指先に残る香りや 菊活けて     (ゆびさきにのこるかおりや きく いけて)


   参詣し 焚火の中へ手を翳す     (さんけいし たきびのなかへ てをかざす)


   実南天こぼし 飛立つ鳥一つ     (みなんてんこぼし とびたつ とり ひとつ)


   寒明けてジャパン・ブルーの空に富士(かん あけて ジャパンブルーのそらにふじ)