[6]高知県西部で栽培される香酸柑橘『直七(なおしち)』 【機関誌第7号】  Top


                 高 橋 美 也 子(たかはし みやこ)(大阪府)


 私は毎年のように高知を訪れ、親戚に会ったり、土佐の美味しいものをあれこれ口にするのをとても楽しみにしている。だいたい春に訪れることが多かったのだが、コロナ禍の影響でこの2年は移動制限の要請が緩和された秋に、「Go To トラベル」を利用して行くことになった。

 季節が変われば旬の食べ物も当然変わるわけで、春には見かけなかったものがいろいろ売られている。直七もその一つである。私が住む大阪では、柚子やすだちのようには見かけない柑橘である。正式名は「田熊すだち」といい、広島県から持ち込まれて現在では宿毛市界隈でのみ生産されているという。収穫量は少ないと聞くが、高知名物の日曜市ではあちこちの店に並んでいた。香りも酸味もどちらかと言えばマイルドで、酢みかんとして使いやすいとのことである。

 私は香酸柑橘が大好きで、レモンをはじめさまざまな柑橘を使っている。これといった使い分けはしていないが、果汁だけでなくそれぞれの果皮に多く含まれる香りや苦味を楽しむようにしている。  また蛇足であるが、アロマセラピーの精油の中でもベルガモットの香りが好きだ。高知県でも栽培している農家があるそうで、加工品は高知駅の売店でも買うことができる。いつの日か、まだ手にしたことのない生のベルガモットも口にしてみたいと思っている。