【15周年記念総会レポート】    【機関誌第8号】   Top


               福 場 将 太(ふくば しょうた)(北海道)

 2023年5月28日(日)、年に1度のゆいまーる総会が開催された。
 今回は15周年記念ということもあり、ここにその記録を残しておきたい。

1.開催形式

 役員で総会の準備を始めるに当たり、まず検討されたのが開催形式だ。これまでは1年ごとに会場を大阪と東京の交互にして現地に集まるのが定例だった。しかしコロナ禍に入ってからは直接集まるのが困難となり、2020年の中止をはさんで2021年・2022年とZoomを用いたオンラインでの開催となっていた。

 もちろん再会やふれあいの喜びはリアルに勝るものはない。一方、視覚障害者にとって遠方からでも移動のストレスがなく参加できる便利さはオンラインの大きな強み。今回はどちらにするかという話になり、提案されたのは第3の選択肢・ハイブリッドであった。つまりリアルとオンラインの両立。初の試みにもかかわらず驚くほどすんなりやってみようという話になった。障害を負うと人は引っ込み思案になりがちだが、ところがどっこい、ゆいまーる役員は攻めの姿勢であったのだ。
 そして、実際に会員に参加を呼びかけると最終的に申込み総数は50名を超える過去最多、リアルとオンラインは半々という割合になった。どうやら会員のみなさんも攻めの姿勢であったらしい。

2.プログラム

 15周年記念としてどんなプログラムにするか、ゆいまーる発足時から代表を務めておられる守田稔医師を中心に検討した。今や100名を超える会員が所属するゆいまーる、ただ途中から入会したメンバーは、そもそも日本各地にいる視覚障害をもつ医療従事者がどのように出会い、つながり、会を立ち上げるに至ったのかをよく知らない。
 そこで年表を作成し、発足から現在までの活動や出来事を追っていく企画が決定した。題して『ゆいまーる15年の歩み』である。

3.前夜祭

 現地参加のメンバーは前夜から大阪に結集し恒例の懇親会が4年ぶりに開催された。お店は、なんばOCAT(オーキャット)5階のアサヒビアレストラン『スーパードライ』。目の不自由な団体が訪れたにもかかわらず、店員さんたちは親切できめ細かい対応をしてくださり、おかげで心から美味しい食事とお酒を楽しむことができた。
 実はこのお店は関西勉強会の際にも度々ランチで利用させてもらっており、本当に感謝しかない。寛げる馴染みのお店の存在がどれだけありがたいことか。

4.祭り本番

 いよいよ当日、会場組は難波市民学習センターに集合、オンライン組は各自のパソコンの前に着席。一番の不安はハイブリッドの運用、会場組の音声がちゃんとオンライン組に聞こえ、なお且つオンライン組の音声がちゃんと会場組に聞こえるのか。いざやってみると全く問題なし。まるで同じ部屋にみんながいるかのようなクオリティで、大阪と日本各地をつないでの総会が実現した。これもITに強い役員の存在と、みなさんの協力の賜物である。

 さて、午前の目玉はやはり『ゆいまーる15年の歩み』だ。晴眼者の会員がナレーションを読み上げ、年度を追って紐解かれるゆいまーるの歴史。印象的な活動や出来事については、当時を知る会員から思い出を語ってもらった。改めて感じる、ゆいまーるの今があるのはたくさんの人たちの志や力添えのおかげなのだと。やがて過去から現在へたどり着いたナレーションは最後に未来のことにも触れ、守田代表がこれからのゆいまーるを語ってこの特別企画は終了となった。

 お昼休み、会場組はまた『スーパードライ』にお世話になってランチ。
 そして午後の目玉は少人数に分かれてのグループトーク。これは総会がオンラインになってから始まった定番プログラムだ。
 その前半は研究トークと題して、視覚障害にまつわるさまざまな命題についてグループごとに話し合った。そして後半は部活トークと題して、共通の趣味でグループに分かれてひたすら愛好する娯楽の話に花を咲かせた。
 自分一人では答えの出なかった命題も、みんなで考えれば新たな視点が見えてくる。一人でも好きな趣味は、みんなで語ればさらに魅力に気付いてもっともっと大好きになる。話し合うという営みを人間は忘れてはならないのだ。

 5.祭りのあと

 そんなこんなで無事閉幕した第15回総会。その心地良い疲労感はまるで学生時代の学園祭の後のよう。ただずっと祭りをしていたい気もするがそうはいかない。
 ゆいまーるは当事者の集いであると同時に医療者の集い。この会の活動が本分ではなく、ベクトルは内側ではなく社会へ向いているからだ。現役メンバーは普段それぞれの現場で奮闘しているからこそ、1年に1度の総会で癒され、励まし励まされることができる。今回の総会でチャージしたエネルギーでまた1年頑張って、次回の総会でお互いの土産話・苦労話を持ち寄る。そしてまたそこでエネルギーをチャージする。
 そうやって1年ずつ歴史を重ねていこうではないか。さすれば20周年もそう遠くはないのだ。

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