【佳代の俳句散歩】     【機関誌第8号】     Top


                  戸 田 佳 代(とだ かよ)(東京都)

       『冬 桜』


   漱石の「こころ」読初ページ繰る (そうせきの「こころ」よみぞめ ぺーじくる)


   湯豆腐に母娘の絆深めつつ    (ゆどうふに おやこのきずな ふかめつつ)


   花活けて莟ほころぶ喪正月    (はな いけて つぼみ ほころぶ もしょうがつ)


   手を叩き鳴竜なかせ春遅々と


   参詣し焚火の中の人となり


   蓋付の器の中のむつを食む     *むつ(魚へんに陸のつくり)

                   
   丹沢の稜線白く雪被る


   贈らるる莟ばかりの冬桜


   冬麗富士に向ひて鳥の群     (ふゆうらら ふじにむかいて とりのむれ)


   山査子の実を拾ひ来て旅果つる  (さんざしのみをひろいきて たび はつる)