【ゆいまーる会員の受賞】   【機関誌第8号】   Top

      <守田 稔医師・指田忠司氏・西川雅子看護師・岸本将志氏>


 ■守田 稔(もりた みのる)氏(47歳)

  (2023年12月16日)
  埼玉県 第17回(令和5年度)塙保己一賞 奨励賞

  今後さらに社会的な活躍が期待される60歳未満の障害のある個人
  視覚障害(全盲)、肢体不自由。精神科医。

 内科医である父に憧れ、医師の道を志すが、関西医科大学在学中、神経系の難病「ギラン・バレー症候群」を発症し、一時は生死の境をさまよった。2年後に復学するものの、病気の後遺症により、歩行困難、そして全盲となった。
 しかし、絶望の中にあっても医師になる夢を諦めることはなく、両親や友人など周囲の協力を得ながら、聴覚を頼りに懸命の努力を重ね、2003年、全盲で初めて医師国家試験に合格した。
 「見えない心を診たい」との思いから精神科医となる。全盲のため、患者の表情や服装は分からないが、「外見の情報に左右されずに患者の内面に集中できることが、視覚障害であることの強み」と前向きに捉え、ストレスの多い現代社会を生きる人々のメンタルヘルスケアに、意欲的に取り組んでいる。
 また、視覚に障害のある医療関係者がお互いに情報交換を行い、親睦を深める場が必要と考え、自ら代表を務める「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」を発足した。会員数は現在100名を超え、視覚に障害がありながらも、医療現場で働く方々の支えとなっている。
 2011年に第9回チャレンジ賞、2013年にパイオニア賞を受賞した。
 年齢は令和5年4月1日現在

 *埼玉県ホームページより
  表彰式 2023年12月16日(土) 埼玉県本庄市児玉文化会館(セルディ)にて。(写真)


 ■指田忠司(さしだ ちゅうじ)さん (70歳)

  (2023年10月31日)
  毎日新聞 ひと 第60回 点字毎日文化賞受賞

 国際NGOの世界盲人連合(WBU)アジア太平洋地域協議会の会長を3年務め、日本の視覚障害者の国際交流の基礎を築いた。人脈を生かし、週刊点字新聞「点字毎日」では深い知見を持つ雇用問題をはじめ、約30年にわたり海外の視覚障害者の動向を幅広く連載する。
 埼玉県狭山市出身。高校1年の1968年、体育の授業中に級友の手が唯一視力のあった左目に当たり、網膜剥離を発症した。失明し、現在の筑波大付属視覚特別支援学校へ。明るく、音楽やスポーツにも生き生きと取り組む生徒たち。障害への無知から、暗いイメージを抱いて差別していた自分に気付いた。
 早稲田大法学部に進学後は「視覚障害者への偏見をなくし、社会を変えよう」と活動。ある時、米国に「視覚障害のある弁護士が300人いる」と知り、驚いた。国内では当時、視覚障害者の一般就労は難しく、得意の英語を生かせる教員も狹き門。ギターを弾いて食べていくしかないのか、とも思った。

 卒業後、民間の研究助成を受け、視覚障害のある外交官や売店経営者など3カ国約40人の働く姿や支援制度を現地で調査した。「日本でも視覚障害者がいろいろな職業に就ける機会が開けたら」。その思いを胸に、帰国後は千葉市の障害者職業総合センターに研究員として勤務。中途失明者の職場復帰や若い視覚障害者の就労を支えてきた。
 IT機器の発達で、事務職やプログラマーへの進出など視覚障害者の働く環境は大きく変わった。次世代のため、発信を続ける。
 文と写真・谷本仁美

 *ゆいまーる機関誌第7号
  特別講演「視覚障害者の就労にかかる合理的配慮の提供の現状と課題」参照。
 *毎日新聞社より記事の掲載許可を得ています。
  2023年10月31日東京朝刊「ひと:指田忠司さん=第60回点字毎日文化賞を受賞」より


 ■西川雅子(にしかわ まさこ)看護師

  (2023年3月)
  公益社団法人 NEXT VISION主催
  isee! "Working Awards"2023 [就労事例部門]
  MSP(Most Strength Player)賞 (経験を強みとした事例)

 今の自分にできることできないことを見極め患者さんのために働き続ける!
 * 公益社団法人 NEXT VISION ホームページより


 ■岸本将志(きしもと まさし)氏 (39歳)

  (2023年6月)社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター
  第21回 チャレンジ賞

 合同会社フロッグワークスの代表社員兼技術担当として、視覚障害者向けICTサポート事業やアクセシビリティに配慮したWebサイト制作、視覚障害者向けICT機器の設定・販売等に従事されるとともに、視覚障害当事者への理解促進や就労環境改善に寄与する無料アプリの開発やWebシステムの構築に貢献されている点が評価されました。
 *社会福祉法人 視覚障害者支援総合センターホームページより
 チャレンジ賞・サフラン賞(女性)は、仕事を持って自立し、文化や福祉の向上に取り組む若い視覚障害者に贈るもの。