【ゆいまーるの意味】    【機関誌第8号】   Top


 「ゆいまーる」は「結い」を意味する沖縄地方の方言。「ゆい」は、結い=結合=共同=協働、「まーる」は順番のこと。
 「ゆいまーる」は労働交換を意味する。その根底には、相互扶助と平等の原則がある。労働交換は、個人が集団(たとえば共同体としてのムラ)から独立して生産活動ができないときや、一人の力ではほとんど不可能な作業、あるいは短期的に能率を要する作業をしなければならないとき成立する。生業を中心として継続的な生産活動にみられ、生業以外の集合的作業(家づくり、墓づくりなど)にもみられる。

 「ゆいまーる」を組む人びとは親戚、隣人、友人知人など一定しないが、やや永続的な集団を形成している。ムラという共同体で農業を営んできたアジア社会では、相互扶助が不可欠なため、中国、韓国などでも労働交換が発達している。韓国のプマシなどがその例であるが農作業だけに限定されている。

 戦後は人口の都市化移動、第一次産業の衰退、農業人口の高齢化、農業経営への機械導入などで、生産形態や社会生活が農業時代の「ゆいまーる」から変容しつつある。相互扶助は社会存立の必要条件であることから、都市化社会にはそれに適合した形態が発達することになる。
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   『オキナワなんでも事典』(新潮社)「ゆいまーる」より抜粋
     執 筆:波平 勇夫 (なみひら いさお) 沖縄国際大学総合文化学部教授
     編 者:池澤 夏樹(いけざわ なつき)
     発 行:平成15年7月1日