【初期研修1年間を振り返って】     【機関誌第2号】     Top


                      宮 内 健 悟(みやうち けんご)
 
 初期研修医として、4月の研修開始時は不安でいっぱいでしたが、働き始めてからは時間の経過もあっという間で、はや1年近くが経過しました。我々の1年先輩の代から研修プログラムが大きく変わりました。厚生労働省推奨の内容は、内科6カ月、救急3カ月、選択必修科目(外科、精神科、小児科、産婦人科、麻酔科から2科目以上)3カ月、地域医療1カ月が必須で、それ以外の期間は自由に選択できるプログラムになりました。あくまでも義務ではないので、独自のプログラムを採用している病院も多くあります。

 私の研修している病院は割と自由がきき、厚生労働省推奨の内容に近いプログラムを採用しています。私が今の病院を初期研修先として選んだ理由は、市中病院であると共に精神科病床が多いことです。Common diseaseをメインに学びたいと考えていたため、初期研修は市中病院でしたいと思っていました。同時に、将来の進路として精神科か内科を考えているので精神科も強い病院で研修したいと思いました。

 当院は90床の精神科病床がありますが、市中の総合病院で精神科も強いところは意外と少なく、精神科は単科病院と大学病院にあるのが主な傾向のようです。将来のことを考えると、大学病院での研修を選択しようか悩みましたが、「大学病院は、後期研修で行きたい科が決まってからでも大丈夫だよ」と周囲のアドバイスもあり、最終的に今の病院に決定しました。

 内科6カ月、選択必修(整形外科1カ月、精神科2カ月)の研修が何とか終了し、現在は救急の麻酔科で研修しています。内科では、初期研修ながらも指導医のもとで外来診療も経験させていただき、市中病院ならではの良さを実感できました。研修を通して、やはり視力の面で苦労することは多々ありますが、先生やスタッフの方々の配慮もあり、無事研修を送ることができています。

 私は、錐体ジストロフィーという疾患で、明るい環境が非常に苦手で視力も矯正と遮光をして0.2〜0.3ほどです。そのため、術野はライトが明るすぎて非常に見にくいです。また、縫合時の針も見にくく、外科的な手技は非常に苦労しました。麻酔科でもどうしても喉頭蓋が見にくいことがあり、気管挿管もなかなかうまくいかないなと悩んでいます。指導医の先生は使ってくださり、「できる範囲でやればいい」と言ってくださるので、無理しない程度でやっています。そうは言ってもできるだけいろいろできるようになりたいとは思うので、葛藤に悩まされることも多々あります。

 当院は初期研修医は2名しかいないため、寂しいと思うこともありますが、要望はいろいろと聞いていただけ、その意味ではとても助かっています。当直は、日直2回と当直4回の月6回で、研修医1名と指導医1名の2名体制で研修させていただいています。今は研修医がファーストコールで呼ばれ、検査のオーダーなどを考えてから指導医にコールする方式で学んでいます。初めてみる症例はどうしていいかわからず、すぐ指導医にコールしてしまうことも未だにありますが、やさしくご指導いただいています。

 将来の進路を考えるにあたっては、やはり視力は障壁になってしまいます。今までの研修を終えて、今のところ将来は内科か精神科に進みたいと考えています。研修環境としては、忙し過ぎず文献を読む時間もそれなりにとれる環境だったので、自分のリズムで研修できたと思います。これからも困ることがあるとは思いますが、自分にできる範囲でがんばっていきたいと思います。

 今年の4月から2名の初期研修医が研修を開始する予定です。少しでも彼らの役に立つことができるように残りの研修生活も日々精進していきたいと思います。