【2013年度 秋の交流会 in 熊本・阿蘇】     【機関誌第3号】     Top


        私の熊本再発見
                      下 川 保 夫 (熊本)

 1. はじめに

 2011年10月10日、『秋の交流会in高野山・華岡青洲の里』の帰路、関西空港へ向かう車中で、「高野山は良かった、次はどこが良いかな、高知も行ったし、熊本もいいね」などの会話が交わされていた。帰りの新幹線の中で「熊本に期待している会員もいるのだな」と缶ビールを飲みながら、やや不安な気持ちで帰った。その後、軽い気持ちで「当地で引き受けてもよいですよ」と提案し現実となった。
 その間の経過を報告します。

 2. 素案作成

 まず、交流会の目的は「大自然に身を任せ、ゆっくり温泉に浸かったり談笑しながら食事をとることで、日ごろの疲れをとること」とした。また日ごろお世話になっている協力会員の方々も、お互い楽しく参加できるように、当日は同行支援のボランティアを依頼しようと計画した。次に開催時期は10月、あるいは11月の連休とした。宿泊地は熊本市内も考慮したが、やはり大自然の阿蘇とした。

 早速、阿蘇周囲の宿泊地探しと観光地巡りから始めた。ホテル内設備、野外での会食の可否、熊本市内までの送迎、会議室・家族湯の有無など検討し、いくつかのホテルに目星をつけ、8月末、宿泊を体験した。共に宿泊してくれた義妹夫婦もホテル「アソシエート」の温泉と静かな環境、こじんまりした造りに満足していた。そこで宿はこのホテルと決め、日時は阿蘇の寒さを考慮し10月13日、14日とした。

 2012年秋の交流会in東京にて、2013年は熊本で開催することとなった。阿蘇の大自然だけでは何となく物足りなさを覚えていたが、熊本出身で華岡青洲と肩を並べることのできる医人として阿蘇・北里村の北里柴三郎がいることに思い当たった。

 2013年5月、妻と2人で北里記念館、およびその周囲を下調べに行った。同記念館は車いすでの利用も可能で、当時のコッホ来日の写真も掲載されていた。係りの人に10月14日の計画を伝え、当日の説明なども快く引き受けていただいた。このようにして、開催日時、宿泊地、行き先など大まかに決めたことで、どうにかなるだろうと思えた。

 3. 具体案作成

 2013年6月16日、ゆいまーるの第6回総会で、『秋の交流会in熊本・阿蘇』の計画案を説明し、多数の参加を募った。開催日時は10月13日、14日で、宿泊地は温泉のある南阿蘇の「アソシエート」とし、初日の13日は各自で自由に楽しんだ後ホテルに集合し、2日目の14日は貸切バスで阿蘇周囲を巡りながら小国町に在る北里柴三郎記念館に行くこと、その近くで昼食をとり、15時ごろ熊本空港に、16時ごろ熊本駅に着き、解散することなどの大まかな計画案を説明した。

 交流会への参加申込みがあった8月上旬、熊本市内を2時間から3時間で見学できる観光スポットはどこがあるのか、紹介するため2人で数か所回った。まず熊本城周囲であるが、熊本城は築城400年で整備され、観光客が歩きやすくなっていた。いたるところにトイレも充実し、車いすでも見学できるような場所が多くなっていた。

 関西地区から新幹線で来られる方々は熊本城見学を希望されていたので、一つの団体はこれとし、その他は各自で見学してもらうように提案した。例えば、文学散歩であれば、夏目漱石、ラフカディオ・ハーン、通称赤門と呼ばれる第五高等学校記念館、徳富記念館、熊本洋学校など、庭園であれば水前寺公園などといった具合である。

 何回かメールでやりとりしながら、当日の10月13日、熊本城見学を希望される方は13時に熊本城内で集合し、観光ボランティアのガイドで15時までに見学を終え、一方、自由に熊本市内観光を楽しまれた方も15時熊本城内で合流し、ホテルの送迎バスに乗り、途中熊本空港に立ち寄り、そこで待機されている参加者を加え、南阿蘇の宿泊地まで行くこととした。

 8月下旬になると、おおよその参加者が出そろった。北里記念館のある小国町周囲を熊本在住の会員と3人で再度探索した。いくつかの見学候補地の中で、休憩所、トイレ、移動のしやすさなど考慮し、「鍋ヶ滝」(滝の後ろに回って正面を見ることができることから裏見滝とも呼ばれる)を見た後、北里記念館に行くこととした。当初申し込みが少なかったため心配していたが、締切間近になると貸切バスが満席になろうとしていた。嬉しい誤算であった。

 4. 交流会当日

 今回の交流会には会員およびその家族、ボランティアを含め総勢30名の参加を得た。内訳は、関西地区から12名、関東地区から2名、四国地区から4名、九州地区から7名、事務局から3名、それにボランティア2名であった。
 以下に交流会の模様を簡単に記載します。

 当日の10月13日、我々はボランティアの本多さん、松本さんと一緒に熊本駅で10時到着の新幹線で来られる生駒、川上、守田、宮下、北上さん達を迎えた。朝早くから遠い熊本まで来られたせいもありやや疲れたような感じを受けたが、妻と本多さんの案内で、熊本駅前発の城めぐりんバスに乗り、熊本城内の城彩苑に着き、そこで高原さん、山本さんも加わり、和やかに軽い昼食をともにとられた。

 私と松本さんは、12時着の新幹線で来られる有光さんを熊本駅で迎え、先に行かれた皆さんとの待ち合わせ場所である熊本城二の丸公園に向かった。こうして12時30分ごろ、熊本城観光グループ、総勢17名が勢ぞろいした。二の丸公園には大きな楠が何本もあり、その木陰は、吹き渡る風で心地よかった。

 13時から観光ボランティアのガイドで城内観光を楽しんだ。彼女は石垣に詳しく西南の役の火災で溶けた石垣にも手を触れさせたりした。また新しく造られた本丸御殿の昭君之間(しょうくんのま)では、その豪華な襖絵、天井画など詳しく説明された。また、城の木組みを体験するコーナーもあり、建築学に興味のある生駒さんはミニチュアに楽しく触れられていた。

 天守閣は階段でしか登れなかったが、多くは最上階まで登られ、そこから熊本市内を一望されていた。その後、みんなで茶店で抹茶の接待を受け、一休みした。あれこれするうちに15時となり、ホテルの送迎バスに乗り熊本城を後にした。そのバスは熊本空港で正田さんを迎え、南阿蘇の宿泊地に向かい、16時過ぎに到着した。

 ホテルにはすでに10名が集まっていた。お互い、当日の出来事などを話したり温泉に入ったりした。
 18時30分から宴会が始まった。そこでは会員の自己紹介、近況報告、守田さんと大里さんのパイオニア賞受賞の報告などがあった。今回、交流会に初めて参加された方々もはじめは緊張されていたが、和やかな雰囲気の中ですぐに打ち解けていかれた様子だった。

 翌日の10月14日は8時に貸切バスに乗り、阿蘇五岳を眺望できる阿蘇外輪山の大観峰へ向かった。そこで20分程度休憩し、ひんやりした高原の風を受けながら写真を撮ったりした。それから小国町に入り「鍋ヶ滝」で楽しんだ。皆さんは滝つぼ近くまで階段を降り、水しぶきを浴びながら滝の裏まで行かれたようだった。我々夫婦と守田さんは滝の音を聞いた後、茶店で小国町ジャージー種の牛乳で作ったソフトクリームを食べながら、店主と談笑していた。それを見たお客さんも次から次へと注文され、あっという間に売り切れてしまった。

 その後、北里記念館に11時ごろ着いた。当初の計画では館長さんに説明していただく予定であったが、多用のためできなくなり、一通り資料を見た後、備え付けのビデオで説明を聞くこととなった。また、同敷地内に移築された柴三郎住居跡も見学した。そして隣接する施設で昼食をとった。そこでも馬刺し付きの郷土料理であった。休憩後、13時30分に熊本空港へ向かった。予定より早めに着き、その後熊本駅へ向かい解散となった。

 5. おわりに

 今回は台風を心配していたが、運良くその3日間は好天に恵まれた。今回、同勤の若い理学療法士の本多さん、松本さんがボランティアとして快く参加してくれた。交流会終了後、彼らの目配り、気配りのきいたサポートに対し、事務局の皆さんをはじめ多くの方から感謝のメール、お手紙をいただいた。
 我々夫婦は下調べにより、これまで見過ごしていた多くの熊本市内、阿蘇の観光地を再発見することができ、自然と歴史を学ぶ機会を得ることができた。

 尚、北里柴三郎に関しては、山崎光夫著『ドンネルの男・北里柴三郎』があり、サピエからダウンロードすることもできます。


【交流会日程】

 ◆ 10月13日(日)
  ・熊本城見学 〜 宿泊「アソシエート」(南阿蘇)
  ・懇親会

 ◆10月14日(月)
  ・阿蘇外輪山周遊(大観峰)〜鍋ヶ滝(阿蘇郡小国町北里)
  ・学びやの里「北里柴三郎記念館」