【シンポジウム 27 ー 大 里 晃 弘】     【機関誌第4号】     Top



  「50歳からの再出発 〜 民間精神科病院における全盲医師としての現状と課題 〜」


 ○ アウトライン

  1.プロフィール 生活歴
  2.現在の仕事 外来の診察、入院病棟、書類の作成、その他
  3.これからの課題


 1.プロフィール

 【生活歴】
  1978年 左眼の網膜剥離にて入院・手術。
  1979年 その後、右眼も徐々に視力低下。
  1982年 東京医科歯科大学 医学部卒業。
    ※ 卒業時の視力は強度の弱視、文字の読み書きは拡大読書機使用。
      国試受験は困難だった。
  1983年 神奈川県ライトセンター入社
  1992年 茨城県立盲学校入学
  1996年 鍼灸マッサージ師として開業

  2001年 医師法の欠格条項改正
  2003年 医師国家試験で特例受験開始。
  2005年 医師国試に合格。半年後に医師免許取得。
  2006年 筑波大学医学部精神科にて研修。
      大原神経科病院に非常勤医勤務。その後、常勤医。


 2.現在の仕事

 【現在の勤務の概要】
  (1) 大原神経科病院は創立以来60年の民間単科精神科病院
   ・3病棟 180床
   ・入院患者の8割以上が統合失調症
   ・外来は大手企業が市内にあることから気分障害圏の新患が多い。
  (2) 週5日勤務。外来を2日間、病棟を3日間。
  (3) 入院病棟は3病棟、その内 女子閉鎖病棟を担当。


 【私の診察法】
  (1) 聴くこと
   ・問診は基本。また精神科の患者さんから訴えを聴くこと(傾聴)も重要なこと。
   ・うつ病の患者さんは、声の調子を重視する。
   ・統合失調症では、会話の流れに注意する。
  (2) 触診 … 患者さんの身体の緊張、振戦、脈診など。
  (3) 視覚情報 … ナースなど周囲のスタッフから。
  (4) カルテの記載、処方箋、診断書の作成


 【外来での診察】
  (1) 会話ができる場合は、問題ない。
  (2) 私が判断するのに困難な症状
   ・不安が強くて会話ができない場合
   ・興奮が強い場合、全く話さない場合
   ・意識障害のある場合など
  (3) 外来ナースやPSWとの連携
  (4) カルテの処理・各種書類の作成


 【入院病棟での仕事】
  (1) 診察
  (2) 退院の促進
  (3) 定期検査
    レントゲン写真、脳波、CT、その他の画像診断
  (4) 身体合併症と救急搬送


 【リスクマネージメント】
  (1) 病院内での移動
  (2) 身体合併症
  (3) 当直・日直


 3.これからの課題

  (1) 新しい情報をどう入手するか
  (2) カルテや書類作成の効率化
  (3) 新しい資格を取得する際の問題点


 (写真)
  1 大原神経科病院(正面玄関)
  2 大原神経科病院(病棟)
  3 大原神経科病院(新棟)
  4 病院の行事 (盆踊り)
  5 病院の行事 (七夕祭り)