【視覚障害をもつ医師の就労(第1報)】 【機関誌第5号】 Top
守 田 稔(大 阪)
【抄 録】
2001年、医師法、保健婦助産婦看護婦法など合計27の法律に改正が行われ、欠格条項が撤廃、あるいは絶対的なものから相対的なものへの緩和がなされた。
2008年、視覚障害をもつ医療関係資格保持者が情報交換できる場として「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」(以下、当会と呼ぶ)が発足した。
身体障害者手帳を有する視覚障害者は現在約30万人であり、全人口の約0.2%と考えられる。医師は、現在約30万人おり、単純な統計から考えても視覚障害をもつ医師は約600人程度と推測され、多い。しかし、視覚障害をもつ医師の現状について明らかにしている調査は限られており、視覚障害をもつ医師がどのように就労しているのか広くは知られていない。
欠格条項が改正されて17年。法律的には、視覚障害を有していてもそれら専門資格試験を受験でき、また資格修得後に視覚障害を負ったとしても、それを理由に資格を停止されることはなくなった。しかし、視覚障害をもちながら医師として就労する人の数は期待されるほど増えておらず、また中途視覚障害を負った人の中には離職を余儀なくされる者もいる。
当会が発足して10年。2018年3月現在、当会には15名の視覚障害をもつ医師が所属する。会員の事例報告を数例紹介すると共に、本発表を通じて視覚障害をもつ医師の就労についての課題を考察したい。また当会の活動内容についても紹介し、広く知っていただくことにより、医療資格を有する中途視覚障害者、および医療資格を目指す視覚障害者のさらなる情報ネットワークの構築を目指したい。