【視覚障害をもつ看護師の就労(第2報)】  【機関誌第5号】     Top


                        藤 原 奈 津 子(ふじはら なつこ)(兵 庫)


 【抄 録】

 2001年に保健婦助産婦看護婦法が改正され、視覚障害があっても看護師として就労することが可能となった。現在、身体障害者手帳を有する視覚障害者は約30万人であり、全人口の約0.2%である。看護師は現在約150万人おり、統計から考えても、視覚障害をもつ看護師は約3000人程度と推測され、多い。しかし、視覚障害をもつ看護師の現状についての調査は限られており、視覚障害をもつ看護師がどのように就労しているのか広くは知られていない。

 欠格条項が改正されて17年、法律的には視覚障害を有していても看護師国家試験を受験でき、視覚障害を理由に看護師資格を停止されることはなくなった。しかし、視覚障害をもちながら看護師として就労する人の数は期待されるほど増えておらず、中途視覚障害者の中には離職を余儀なくされる人もいる。実際、「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」に所属する看護師の現状を見ても、就労を継続した看護師は半数程度である。そこで今回、視覚障害をもつ看護師の実際の就労について事例報告をし、視覚障害をもつ看護師の就労についての課題を考察したい。


 (事例報告)

 事例1 民間病院勤務。リスクマネージャー業務や相談支援業務に従事。
 事例2 福祉機関勤務。相談支援業務に従事。
 事例3 公立病院勤務。病棟勤務に復職するも就労継続困難となり離職。


 (まとめ)

 看護師の仕事は安全性を強く求められる仕事であるため、視覚障害は業務を行う上で大きな障害となり、就労継続が困難なことも多かった。一方で、業務内容を工夫し就労を継続できる事例もあった。視覚障害をもつことで全ての業務が困難となるわけではなく、視覚障害をもったからこそ行える業務もあった。今後、視覚障害を理由に離職を余儀なくされる看護師が減少するよう、また、視覚障害を理由に看護師となる夢をあきらめる人がいなくなるよう、引き続き調査していきたい。